大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)1446号 判決

証拠を綜合すれば、本件土地はもと神奈川県所有の堤防敷地であつたが、その後私有地となり、更に組合が設立され区画整理を施行するに当り組合地に編入されたものであるところ、昭和一九年頃組合は本件土地を訴外齊藤騏一に売却する旨の決定をしたが、同人が売買代金を支払わなかつたため、組合は、右売買契約を合意解除の上、昭和二七年頃本件土地を特別処分地として訴外塚田千代に売却することを決定し、これにつき昭和二八年五月一一日神奈川県知事の認可があつたことが認められる。しかるに、右乙第九号証の五及び成立に争のない乙第九号証の六、同第一〇号証、甲第一号証、第二号証の一、二、第三、四号証、及び前記証人野崎勇次郎及び原審証人鈴木亀司郎の各証言を綜合すれば、組合は昭和二八年九月前記塚田千代に対する本件土地の特別処分地としての売却を取消し、改めて被控訴人に対し本件土地を特別処分地として売却することを決定し、同年同月三〇日組合総会の承認を得、かつ神奈川県知事の認可を受けたので、被控訴人は代金支払の上同年一一月二七日所有権保存登記をしたことが認められるのである。

してみれば、訴外塚田千代に対する組合の売買契約並びにその取消の有効無効を判断するまでもなく、同訴外人はその所有権取得について登記を経ていないのであるから、すでにその登記を経由している被控訴人に対し、その所有権取得を対抗することができないものといわなければならない。従て、また控訴人は被控訴人に対し、訴外塚田千代の所有権を主張することができないものといわなければならない。

控訴人は、被控訴人に対する本件土地の売却処分については、組合の評議員会の議決があつただけで、総会の決議がないから、売買契約は成立するに由なく、従つて被控訴人の所有権取得は無効であると主張し、甲第三、四号証によれば、評議員会の議決のあつたことは認められるが、総会の決議があつたことは、これを明確に認めうる証拠はない。しかし、成立に争のない乙第六号証(組合規約)によつても、特別処分地の売却につき組合総会の決議を要する旨の規定は存在せず、その他右決議を要する旨の法令上の根拠は見当らないばかりでなく、かりに特別処分地の売却につき総会の決議を要するものであり、被控訴人に対する本件土地の売却処分につき総会の決議がなかつたものとしても、右処分については昭和二八年九月三〇日の総会に報告され、その承認を得たことは、さきに認定したとおりであるから、これにより右瑕疵は治癒されたものというべきであるから、控訴人の右主張はこれを採用することができない。

(角村 菊池 土肥原)

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